妊娠線について 院長コラム#015

2021.12.20 院長コラム

院長の吉冨です。妊娠週数が進むにつれ、少しずつ意識し始めてくるのが妊娠線。今回は皆さんが気になる妊娠線について書いてみようと思います。

妊娠線とは

妊娠線とは妊娠中にできる皮膚の割れ目のような線のことをいいます。医学的には「線状皮膚萎縮症」といいます。急激に太った時や成長期に起こる「肉割れ」も、線状皮膚萎縮症です。妊娠線と肉割れは同じものですが、妊娠中にできたものを妊娠線と呼ぶことが一般的です。妊娠線と言うと下腹にできるイメージが強いかと思いますが、胸や太もも周り、おしり、二の腕など意外とどこにでもできます。妊娠線は人にもよりますが、妊娠57ヶ月ごろからできることが多く、半数以上の妊婦さんに現れるといわれています。

 

妊娠線ができるメカニズム

原因としてよく言われているのは、妊娠中の急激な体重増加です。お腹やおしり、胸が急に大きくなると、皮膚の表面は一緒に伸びますが、その下にある真皮や皮下組織の一部が急激な伸びについていけず、断裂が起こってしまいます。さらにもうひとつの原因として、妊娠中はステロイドホルモン(コルチコステロイド)の分泌が増え、このホルモンが皮膚の弾力を失わせる働きをするのです。つまり妊娠中は線状皮膚萎縮症が起きやすい状態であり、妊娠線が多くの妊婦さんに出現してしまう理由となっています。

 

妊娠線の経過

妊娠線は真皮や皮下組織が断裂して起こるため、裂ける前に痒みを伴うことがあります。また、裂けた部分の毛細血管が透けて見えるため、赤色や赤紫色の線ができます。産後、時間が経つにつれて色が薄くなり、白くなっていきますが、完全に消えることはありません。

 

妊娠線の治療

妊娠線は治すことができません。手術やレーザー治療などで目立たなくすることは可能ですが、完全に消してしまうことはできないのです。

 

妊娠線の予防

 100%完全に予防する方法はありません。また、神経質になりすぎると辛くなりますので、適度に予防方法を試すのが良いと思います。予防で大事なことは①体重管理、②保湿、③栄養です。

 ①体重管理

体重があまりに急激に増えすぎてしまうと、真皮の伸びが追いつかなくなり、妊娠線ができてしまいます。また、皮下脂肪が厚い人は、皮下組織が伸びにくいため妊娠線ができやすいとも言われています。適度な運動やバランスのとれた食事を心がけ、体重管理をしっかり行うことは健康維持にもつながり、妊娠線の予防にもなります。ただし、妊娠中の過度なダイエットは赤ちゃんに悪影響を及ぼすため、控える必要があります。

 ②保湿

皮膚が乾燥すると真皮の柔軟性が低下し、妊娠線ができやすくなります。そのため、皮膚の保湿が重要になってきます。妊娠線専用のケアクリームやオイルを使用することはもちろん良いですが、普段使いのお気に入りのボディクリームなどを使用しても良いです。値段や種類によって効果が著しく変わることはないようです。また、お腹以外に全身どこでも妊娠線はでき得ますので、全身の保湿をするように心がけましょう。保湿を行うタイミングとして、特にお風呂あがりはお湯が皮膚の水分を奪いながら蒸発していきますので、入浴後はすぐにクリームやオイルを塗布し、皮膚の水分が逃げないようにしましょう。

③栄養

健康な皮膚を作るにはバランスの良い食事をとることが大切です。皮膚はタンパク質でできているため、良質なタンパク質を毎日摂取することが大切です。また、タンパク質とビタミンCを一緒に摂取することで、コラーゲンの生成が促進されます。ビタミンC以外にも多くのビタミンが皮膚の代謝に関与しています。そのため、赤身のお肉や魚、野菜などをバランスよく献立に取り入れることが大切です。

 

まとめ

 妊娠線は一度できてしまうと治すことができないため、できるだけできないように心がけることが大切です。妊娠線の予防は妊婦さんの健康維持にとても良いこととつながっています。健康な妊娠ライフをおくって、妊娠線ができないようにしましょう。